ながれと形4〜ロジャースのパーソナリティの理論

●前回この身体を流れるものとして「今ここの実在の流れ」があるのではないかと書いた。これは私一人の考えではないように思う。実際ロジャースもそのパーソナリティ理論で人間は気持ちや感じが「より良く流れる方向」へ変化・成長すると指摘している。それには次の7つの段階がある。

 

●第1段階では、そもそも自分について話したくない気持ちがある。変化が起こりにくい状況で、自分の感情や個人的意味づけに気づいていない。親密なコミュニケーションが危険だと思っている。自分自身の中に問題を認識していないし、知覚もしていない。また変ろうとする願望をもっていない。

 

●第2段階では、「私の生活にいつも混乱が起こっている」というように、「私」を主語にすることなく、他人事のように話す。感情は表出されたとしても自分の感情として認めない。体験の仕方は過去に束縛されている。自分で作った概念が変えられない事実のように考えている。

 

●第3段階では、「努力します。彼女に自分を愛してほしいから」というように客体としての自己についての表現がより自由に流動するようになる。ただし、自分の感情が受容されること(acceptance of feelings)はわずかで、過去の経験として語られる。経験の中に矛盾を認めることができるようになる。

 

●第4段階では感情がより自由にあふれ出てくる。過去に味わった“非現在的な”強い感情が述べられる。時には感情が現在のものとして語られることもある。問題について自分の責任を感じ、動揺する。感情のレベルでわずかながらでも人との関係をもとうとし、自ら危険をおかしてみることがある。

 

●第5段階では、感情は現在のものとして自由に表現され、生まれ出る感情に対して驚きと恐れがある。しかし喜びはない。自己の感情が自分のものだという気持ちをもち、“ほんとうの自分(real me)”でいたいという願望が増加する。自分で作った概念の再吟味がなされる。自分の中で自由な対話が起こる。

 

●第6段階では、固着化して、押しとどめていた感情が直接瞬時的に体験される。その感情は充分に流れ出し、その感情があるがまま受容されるようになる。そして、客体としての自己が消失する傾向にある。自分で作った概念や枠組みから解放される。

 

●第7段階では、新しい感情が瞬時性と豊富さをもって体験される。変化する感情を自分のものとして実感して受け入れることができ、自分の中で起こることに対して基本的な信頼をもつことができる。概念は暫定的に再形成されるが、それに固執しない。そして、新しい自分のあり方を効果的に選択する。

 

●こうしたパーソナリティの変化は、過去の体験や概念に固執し、気持ちや感じなどが流れない固い状態から、今ここでの気持ちや感じを受け入れ、自由に流れる状態への成長である。人はこのように気持ちや感じといった「今ここの実在の流れ」が「より良く流れる」方向に成長していく。

 

 

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