不安や不満、怒りのエネルギーの矛先

●オミクロン株の蔓延が止まらない。今日のNHKのホームページによると私の住む大阪府では10万人あたり(1週間で)の感染者数が927人になっている。感染爆発のために受診や検査ができない人も多いらしく、実際の陽性者は4倍とも10倍とも言われている。確かに私の知人も子どもの保育園でクラスターが起き、子どもも発熱したのだが、検査が追いつかず、結局陽性と判定されなかった。

(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220119/k10013439621000.html)

 

●仮に10万にあたりの陽性者数をざっくりと4千人と見積もると、5週間で2万人、つまり5人に1人が陽性になる勘定となる。しかも80代以上の死者が増加している現状にあっては、高齢者と同居している私のようなものには、大きなプレッシャーがかかってくる。感染しないことは難しく、そのための方法もないのに、家族に致死的な影響を及ぼすからだ。特に息子が子ども相手の仕事をしているので、そこからの感染の可能性も高い。

 

●このようにコロナに感染する不安はもちろんあるが、そのほかに他者や行政に対して「どうしてもう少し・・・してくれないのか」という不満や怒り、そして諦めの気持ちが起きる自分に気づいている。そして身の回りやニュースを見ていると、実はこうした不安や不満、怒りを持っている人たちはすごく多いのではないかと感じられる。例えば次のような状況にある人々はこうした気持ちが起きることもあると思う。

 

・高齢者、妊婦、精神障害者、ワクチン未接種者、基礎疾患を持つ人などコロナの高いリスクにさらされている人、心臓や脳などの急性疾患の恐れのある人やその家族

・仕事や学び(通勤・通学)で高い感染リスクに晒される人

・コロナの後遺症に悩む人

・感染対策で人と会わないことにより、認知症やうつ症状の悪化した人

・コロナの影響で経済的苦境に陥っている人、極度の貧困に陥る人

・検査キットや医療体制、救急体制が不足し医療サービスを受けられない人

・コロナの中で生じている供給不足・物価上昇に苦しめられている人

・入院患者の家族など愛する人と会えない人

・防疫のために我慢を強いられる人(外出、旅行、飲み会などが制限される)

・強制的な検査や隔離、防疫のための人権の制限に苦しむ人

・前線で人や社会を守る・維持する人々で疲弊している人

 

●ところで今私は「自己組織化理論」を勉強中である。これは例えばレーザー光が起きる仕組みを研究するもので、通常はランダムな方向に動いている光子だが、レーザーの中の鏡の反射という拘束条件の中では、徐々に光子の動きが揃い、最終的にレーザー光に自己組織化される。その際大事なのは光子持つ波長が徐々に同期して、増幅されるプロセスである。

 

●こうした自己組織化は、怒りや不安を持つ人が周りにいる同様の気持ちを持つ人と出会い、同期して気持ちが増幅される過程でもみられる。そしてそこに扇動する人が出てきて、「悪いのは・・だ!」みたいな感じで煽ると、レーザー光のように集められた怒りや不安が、個人や特定の集団、政府などに向けられやすくなる。これは政権の支持率低下のような形で現れることもあるが、時には暴力的な形で生まれることもある。

 

●こうしたプロセスはすでに世界中至る所で、また日本でも起きているように思う。コロナという災害で起こる被害も受け入れ難いが、それに対する私たちの反応が暴力的になるとより悲惨な災害(人災)をもたらす。今自分にはこうした不安や不満、怒りのエネルギーがあることはそのまま認めながら、でも根拠のない扇動に煽られて、暴力に向かうようなことだけはしたくない。そのためには事実を見ること、自分の「今ここ」を手放さないで行動することが大切だと感じる。

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