情けは人の為ならず〜コロナ禍のストレスを抑える生活習慣

●最近母に軽度の認知症状があるということを前に書いたかと思う。そして専門病院での診断の結果、認知症は軽度に発症しているが、むしろ今まで服用していた薬の影響が大きいのではないかということになった。母が飲んでいた胃薬のガスターや入眠剤であるマイスリーなどは、確かに認知症状を起こすことが知られているようだ。

 

●そして専門医の指導の下、こうした薬をやめることにした。しかしやめてすぐ、母が不安を訴えることが増え、テレビの音がうるさいとか、食事をする前からお腹がいっぱいなど不調を訴えることが増えた。調べてみるとこうした薬から離脱する際には副作用が起きることがわかった。禁断症状も出る。

 

●例えば母に出ているのは(1)精神症状 不安、落ち着きのなさ(ゆったりできない)、記憶・集中力障害、抑うつ気分、イライラ感

(2)身体症状 腸の働き↓(便秘=お腹が張る、食欲低下・体重減少)、心悸亢進、発汗、頭痛、めまい

(3)知覚障害 知覚過敏(光・音) などである。

 

●こうした原因としては、入眠剤が不安時のノルアドレナリンなどの神経系の活動を抑制する形で働いていたため、薬がなくなると自律神経系の活動が多くなりすぎるからである。そして8ヶ月以上服用していると、依存が生じ薬の離脱からくる症状が出やすいらしい。そして特に老人の場合、そこから脱却するのに時間がかかるようだ。

 

●さらに調べてみると、ノルアドレナリンの過剰を抑制してくれるものとしてセロトニンという神経伝達物質があり、これは生活習慣の確立によって分泌されることがわかった。例えば、朝日を10分以上浴びることから始まり、リズムを意識して散歩し、腹式による深呼吸、ストレッチと体操、セロトニンをつくるタンパク質の摂取、団欒の時間を持つなどである。

 

●母にはこうしたことに役立つ体操や散歩、食事などの習慣はなかったので、最近、時間の許す限り習慣づくりを手伝っている。一緒に朝食後15分、近くの公園までリズム良く歩き、楠に挨拶し、その木陰で深呼吸をしている。また意識して食事やおやつを一緒に食べるようにしている。

 

●もちろんこうした薬への依存は簡単にはなくならない。今も夕方になると不安症状がひどくなり、毎晩入眠剤をくれと言いに来る。でも身体はだんだんと元気になってきているのが目に見えてわかる。そしてこうして母に付き合う内にノルアドレナリンの過剰は私にも生じていたのではないかと感じるようになった。

 

●考えてみるとコロナ禍が始まって以来、日常生活の多くの時間で警戒モードで生きていたと言えるだろう。これは私だけではあるまい。ニュースなどを見ても今分断や対立、葛藤が増えているように思うが、これらはノルアドレナリンが暴走し、不安やイライラなどの心の症状が出ていると考えてもいいと思う。

 

●こうした中で母のためにと思って始めた新しい生活習慣が、私自身の心の安定にも役立ってくれているように思う。まず自分自身がゆったりした気分でのんびりしている時間が極端に少なくなっていることに気づいた。そしてこの習慣によってそうした時間を持てるようになってきている。情けは人の為ならずとはよく言ったものだと思う。

 

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