ながれと形2〜『流れとかたち』

●「流れと形」についてもう一つ示唆を与えてくれると思うのが、エイドリアン・ベジャンとJ・ペター・ゼインが『流れとかたち』という本の中で提唱した「コンストラクタル法則」である。それは一言で言うと「すべては、より良く流れるかたちに進化する」と言う考え方だ。

 

●彼らは河川の流れや動物の身体構造、稲妻、毛細血管、脳の神経細胞、道路網など生物・無生物を問わず様々なデザインを分析した結果、こうした「かたち」がより良く流れるように進化したことを発見した。例えば河川であれば水が、道路網であれば自動車がより良く流れるかたちで進化する。

 

●彼らの言葉ではこうなる。「生物・無生物の別なく、動くものはすべて流動系である。流動系はみな、抵抗(摩擦など)に満ちた地表を通過するこの動きを促進するために、時とともに形と構造を生み出す。自然界で目にするデザインは偶然でなく、自然に自発的に現れ、時とともに流れを良くする」。

 

●彼らは「生きていることの意味」をこう定義する。「生命は動きであり、この動きのデザインをたえず変形すること」である。逆に死の状態とは熱力学における「環境との平衡状態」を意味し、そこでは中で動くものが何もない。彼らによれば、私を含めた生物もまたより良く流れる方向に進化してきた事になる。

 

●こう考えると、またもや「私」を何と捉えるかということが問題になってくる。私は身体という形・デザインを持っている。しかし『流れとかたち』の考え方からすれば、そこには流れるものがあるはずだ。この身体は、そこに流れるものがある。それは一体何なのだろうか?

 

 

 

 

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